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2009 09,11 03:17 |
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01が1100文字くらいに対して、02は2600文字くらい……あれ?
まあ文才はないけれど伝えたい言葉はそれなりに、という事で。 少し長いので注意。 【02:Lust Days】 嗚咽の声を上げてしまいそうになる寸前、涙に気付いたその瞬間、弾ける様に走り出した。 曇った顔が人の目に付かないように、人の目に映らないように。 それでも、押し殺していたモノが隙間から滲み出し、感情が身体の支配権を侵食し続ける。 全身が震え足から崩れ落ちる頃には、堪えるのも限界な程憔悴した表情になっていた。 転がり込んだ場所は遺跡外の森の木陰、幸いにも早々人目につく所ではない。 そう。 気付かれないという事に気付いた瞬間、最後のタガが外れそうになった。 彩「・・・くっ・・・・・ひっ・・・ぅ・・・っ」 堪えようとしても、もう駄目だ。 もう、どうにもならない。 気持ちの乱れも、この島での出来事も、別れが起こる事も。 どうにもならない。 それなら、そのままになったっていいよね? あるがままにしてて、いいよね? もう――泣いても……いいよ、ね。 でも、声だけは抑えておこう。 誰かに見つかっちゃうと、やっぱ恥ずかしいから。 ?「…さーん。 姐さーん? もしもーし姐さーん?」 彩「ん……」 呼び声が聞こえる。 薄らと目を開けると金属質な物を被った人影がこちらを見ていた……あぁ、バケツか。 目を反らすとその人影の向かい側にもう一つ、小柄な人影。 そして上に視線を戻すと高い枝の上に微動だにしない白い何かの影が見えた。 彩「…どうしたのよ、あんた達」 ?「いやそれオレらのセリフなんスけどー」 彼らには覚えがある、というよりも他に思い当たるものが島中探しても多分いないだろう。 バケツを被った動く死体のクワイ、人形に憑依しているアイルィ、白鳩のヴィルベルヴィント。 色々な経緯で私のペットとして遺跡内の探索に着いてきてくれた存在達だ。 彼らとの出会いもまた、この島であった出来事。 だから……――。 アイルィ「それでどうしたんですか、悲しそうな目をして。 泣き疲れて眠っていたようなので少し奥まで場所を移しましたけど」 彩「ちょっと、ね…色々考えずにいた所為でツケが回ったってところかしら。 島から帰るなんてごく当たり前の事だったのになぁ…」 クワイ「それだけこの島で起きた事や出会った人が好きだったって事ッスよ」 アイルィ「きっと他の方も同じように悩んでいますよ、少し悲しいですけれど」 だから、さようならを言うのがやっぱり辛い。 でも私も、彼らも、他のみんなも、あるべき所があるからこそずっと一緒にはいられない。 決定的に違う世界の者は、"共に過ごす"事は出来ても"共に生きる"事は出来ない。 だから……――。 彩「でも…だからこそ、ちゃんとさよならはしないといけないね。 逃げてちゃ何も出来ないままで、何にもならない、か」 ヴィルベルヴィント「迷いも決意もあるがままの意思だ、思うようにすれば良かろう」 何処を見ているのか、遠くを見ているのかよく分からない鳩が一言だけ声を掛ける。 その低い声は常に何かを見据えているかのような落ち着きを持っていた。 彩「…それで、あんた達はどうするの」 アイルィ「どうって僕と先輩はこの島のマナで動いてるようなものですし」 クワイ「ハトの旦那もここの生まれらしいっスからねェ。 人間種が去ってようやく森が静かになる、とか言いそうっスよ」 彩「…それは言うかもしれないなぁ」 思わずくすくす笑い出してしまう。 皆、これからどうするかもう決めているのだ。 彩「それじゃ、これでさよならにしないとね」 クワイ「…そうっスね」 アイルィ「お別れは悲しいけれど、悲しいからまた誰かと会うのでしょう」 彩「ありがと。 …ヴィルベルヴィントも面倒掛けさせたけど、ありがとうね」 ヴィルベルヴィント「……………」 だから、私が迷っていたままじゃ、彼らに向ける顔もないね。 彩「それじゃ、さよな――― ら…?」 別れの言葉を紡いだその時、視界が揺らいだ気がした。 正確には視界の奥、彼らの後ろの森の奥、そして景色が揺らいだのは気の所為ではなかった。 ゆらり ぐらり ぐにゃり ずるりとその歪みの先から出てきたのは雷を纏う十字槍を持った甲冑の人影。 随分前に話で聞いたクワイを襲撃した人物と特徴が一致している、 そして退けたはずのそれが再び現れた、殺意とは違う冷たい目を向けながら。 クワイ「ノンビリもしてられないっスねえ……敵っスよ」 その声に応じるようにアイルィがナックルを打ち合わせ炎を纏い、 ヴィルベルヴィントも貫くような視線を敵へと向ける。 彩「敵…っ」 そう呟き戦いに備えようとする彩に――― クワイ「何を――しようとしているんだ」 クワイの制止の声が放たれた。 その声はいつもと違う……飄々としていない、重い、重い声をしていた。 クワイ「姐さん、いや式村彩。 貴女はついさっき自分で言った事を忘れたんスか」 彩「……さっき?」 クワイ「これでお別れと、自分で決意したんだ」 彩「……! で、でも―――!」 バリィッ!!! 踏み出そうとした途端、その足の前に列をなす電撃が叩きつけられた。 眩しさに顔を覆っていた腕をどけると、見えたのは左腕を彩の方へ突き出しているクワイの姿。 左腕にはまだバチバチと音を鳴らせる電撃が纏われていた。 クワイ「さよならは……言ったはずだ、別れたはずだ」 アイルィ「貴女といた日々は楽しかったですよ、ですが…お別れしたはずです」 言葉には出さないがヴィルベルヴィントの小さな背中からも同じ覇気が伝わってくる。 踏み出そうとする足が止まりはしたものの、彩の表情からは僅かながら戸惑いが見えている。 クワイ「その電撃跡のラインは境目……日常と非日常の境目、それを超えてはならない」 アイルィ「帰ると決めたのでしょう、貴女の日常へ」 クワイ「――この島は大きい、何もかもを受け入れる程に優しくも厳しくも大きい」 アイルィ「また来たいと、また会いたいと強く願い動けば、また巡るかもしれない」 「「「 だから、今はさよなうならだ 」」」 三つの声が重なった時、彩は再び小さく言葉を告げてその場を後にした。 「 ありがとう 」 PR |
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