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ざざーん。 ざざーん。
夏も中盤になりお盆の頃、そんな時期に彩は再び海へと着ていた。 島に滞在している冒険者が主催した今季の一大イベント「サマーバケーション」、 今回の行き先は奇しくもそれと同じ場所である。 で、何故ここに来ているのかと言うと……
~少し前の話。~
ミサキ「えっと…プリントはこれで全部集まった…かな」
ともみ「では次は行き先アンケートの集計ですね。 山、海、海、勉強、海、勉強、山、山、海…… と、以上です」
梶井「海4票、山3票、勉強2票 という事は海合宿になるのかな。 勿論勉強も一緒に」
その日、教室では先日配られた合宿案の詰めが行われていた。 三人のコンビネーションも上手くいき参加表明と行き先がさくさくと決まっていく。 宿泊する場所も既に候補地を見つけてあり後は問合せをするだけらしく、 順調な滑り出しに皆期待に胸を膨らませ始める。
ともみ「これで事前準備は万端ですね、他に参加希望される方が来ても大丈夫でしょう」
ミサキ「それじゃあみんな集合時間に気をつけて…今日はこれで解散です」
ちなみに坂爪先生はどうやら本当に不在にするらしく、全く姿を見せなかった。 そして、そこにツッコむ人もまた誰もいなかった。
~回想終わり。~
と、いう訳だ。
第十四日目 『高校生ズは夏休みを満喫中なんだってさ』
梶井「じゃあ念の為もう一度注意事項の確認。
海岸には複数名で向かうこと。夜の海は危険。 海生生物に襲撃された場合は引率へ報告し速やかに駆除すること。
少しでも体調が悪くなったら無理をせず、休憩を取ること。 熱射病、日射病に注意する。
暴力行為、破壊行為は厳禁。 『使う前より美しく』を心がけ、施設は清掃すること。
以上この3つ、大丈夫だよな。 それじゃ…荷物を小屋に整理出来たら自由行動、って事で」
「「「 はーい 」」」
簡単な再確認と号令を掛ける委員長の梶井と、それに元気一杯に応える参加者一同。 砂埃が立たんまでの勢いで我先にと駆けて行く面々。 それを眺めながらも和気藹々と話ながら歩いて行く面々。 その後者の方に紛れながらぽつりと、
彩「……駆除は良いんだけど、引率って誰になるんだろね」
凄く今更な事を口にしてみた。 やはりイヅルギさんのお兄さんだろうか、時々ネクタイ引っ張られて泡噴きそうになってるけど。 でもここと似た島で以前冒険した事があるらしいから実力はあるんだろう、うん、そういう事にしておこう。
とはいえ引率一人でも平気なのだろうか? 用務員も含めればフェンネルさんも来ているんだけど…。
少し心配性になったかなぁ…などと思いつつ、立ち止まり海の方をぼーっと見つめる。 今日は雲も多くなく風も穏やか、ごく普通の海の景色、やっぱり色々考え過ぎかも。 気分を上手く切り替えられた所で視線を前へ戻――…
「 ―――――――― 」
彩「?」
何か聞こえたような…。 いや、確かに聞こえる っていうか沖の方にエラいスピードで動いている様な小さい点が…船?
彩「船、にしちゃ小さいかなあ」
フェティ「でもボートって言うには速過ぎない?」
彩「…あれ、いたんだ?」
フェティ「ずっといたよっ?!」
彩「冗談だってば。 ―――ところで、こっちに近付いてる気がするんだけど、あれ」
視線を沖に戻してみると先程まで小さな点だった影がいつの間にか色が分かる位に大きくなって と言っている間にも人影らしきものがいるのも確認出来る程度に大きくなって って考えてる間にも形がどう見てもエンジンボートにしか見えないというかもう目の前ni――――
ドガァッ!!!
――――ごしゃっ… ドーン
フェティ「……ねえ、サイ」
彩「なに?」
フェティ「エンジンボートが目の前で岩場に猛スピードで突っ込んで空を飛んだのを見たのは初めてだよ、私」
彩「しかも爆発付き、滅多に起こる話でも無いよね」
醍「流石の俺もこんな事故は初めてだな、やれやれ」
フェティ「だよね、やっぱりそうだよねー」
・・・・・・・。
フェティ「何さり気無く混ざってるのってツッコんだら負けかな!?」
醍「ツッコんだから負けだ!! 相変わらずみてェだな赤いの」
少し先の砂浜にぼすぼすっ、と荷物であろう物が落ちてくる、あの一瞬の間に放り投げておいたのだろうか。 その脇には見た事ない人が、やはり投げられた様に半分埋まったまま目を回している。
思わず溜息をつく彩。 これだけ一気に起きれば当然ではあるが合宿に来た早々にこの状況、どうしたものか。
雪白「あれ、式村さんどないしたん? 早よう荷物置いて来んとみんな遊びに行ってまうでー」
逡巡していると小屋の方から佐藤さんの声が聞こえた、マズい、それはマズいね。 とりあえず後でどうにかなるだろう、そういう事にしておきつつ荷物を抱え小走りで駆けて行った。
西瓜割り、ビーチフラッグ、ビーチバレー… こんな時くらい、思いっきり遊ばないとね。
醍「ま、さしあたってはバケモン出た時の用心しとく位かね、今ントコは」
フェティ「遊ぶだけだしそんな所じゃないかな? 頑張れーいっ」
醍「あ? 頑張れってお前、サボる気かよ」
フェティ「大丈夫ダイジョーブ、ダイが負けたら頑張る!」
醍「俺より強ェってのに出不精な奴だな、ったくよォ…まァ良い」
この時彼は、あんな事が自分の身に起こるなんて、―――
フェティ「思いもしなかったのです」
醍「縁起でもねェ事言ってンじゃねえっつの、このアホンダラ」