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醍「魔方陣の相手じゃ特に準備も必要ねェからなあ… 息抜き出来る相手って言やあ確かにそうなんだが」
此処暫くの連戦内容と差を考えると、気が抜けても仕方が無いとは言えるだろう。
醍「言ってもしょうがねェンだが、やっぱヒマだな今日は」
本当にどーしよーもない。 とりあえずここで腐ってるよりはマシだろう、そう思い身体を起こし 肩や首の関節を鳴らしつつ辺りを見回り兼ねて散策に出る事にした。
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
同時刻、別の場所。 圭は少し隠れて泣いていた。 悲しい訳ではない、何処かが痛む訳でもない。 ただ嬉し過ぎただけ、そして少し寂しくも思っただけ。
想い人…櫻井陸という青年が帰り際にくれたブレスレット、 特別凝った造形でもなく、恐らくは特別な材質でも無いと思われる簡素なブレスレット。 だが、とても温かく感じるものだった。 それを感じる度に、未だに少し嬉しさから涙ぐんでしまう。
圭「うう… こんな顔じゃちょっと顔合わせに食い、なあ…」
幸いこの場所はちょっとした陰になっているらしく、不意に誰かに見つかるという事は無いだろう。 しかし如何せん少し目元が腫れてる感じがする。 いけない、涙を流し過ぎた様だ。
圭「とりあえず水場で顔洗っておこ…」
確かあっちの方に水場があったな、と思い立ち上がり歩を進める事にした。
更に同時刻、別の場所。 赤い髪に少し深めに帽子を被った女性が辺りを見回しながら、何かを探す様に歩いている。 女性というには小柄でやや子供っぽいが、少女というにはらしくない。 何と言うかとりあえず女の子。 ヘソ出し半袖服にズボンを身に纏い、両手にはごっつい金属のグローブをしているが とりあえず女の子。
その女の子、フェティ=ラルグは何かを辿る様に歩いていた。
フェティ「うーん、結構近くに来た様な気はするんだけどなー?」
立ち止まって鼻をすんすん鳴らせてみたり、周りを大きく見回したりしたりするがどうにもハッキリしない。 匂いを追ってる訳では無いので当たり前だがしょうがない、バカだから。
この島に着いた時偶然にも『昔のあの子』と認識出来る感覚を微かではあるが嗅ぎ取れた。 同調にも似た感覚、かつて島に流れ着いて一人で歩いていた時にも似た感覚。 恐らくその感覚の元の人は、『あの子』とそう遠くない頃に接点があったはず。 …と思って追い掛けては来たのだが、どうも此処にきて何だか混線してる気がする。
フェティ「しょーがないなぁ、片っ端から人探すしか無いかなぁ」
疾走しまくった疲労も多少あり、ふへぇと軽く溜息を漏らす。
じゃり、ざり…
その後方から誰かが歩く音が聞こえた。 振り返るとそこにはタオルで顔を拭きながらぼーっと歩く黒髪の少女…圭の姿があった。
フェティ「―――――ビンゴ!」
ぴっかーん。 フェティのあんまり賢くないのーみそに豆電球が点った。
圭「…という訳で、フェティさんも一緒にどうかな?」
醍「どういうワケだソレは」
フェ「まーまー、そう堅い事言わないのオニーサンっ」
醍「えーと…つまり纏めるとみあんを探していて、近くに暫くいたっぽい匂いの残留を辿ったら圭に至り、 しかし時間軸のズレか何かで一年程前に圭と一緒にいたのは確かに本人だがお前と会う前のみあんで、 お前とはその暫く後に出会って、更に失踪したのが八、九年前辺り と?」
フェ「そうそう、そのとーり!」
醍「解かり難いにも程がある」
フェ「そんな事言ったってしょうがないじゃないじゃんさー、ぶーぶー」
実際醍にも言いたい事は分かる、分かるのだが ここまでブッ飛んだ状況は初めても物語にも程がある。
醍「…まァ別に良いか、事情が何だろうと関係無ねぇや」
フェ「やたっ!♪」
醍「ただし!」
フェ「う?」
醍「生憎俺には他人を守るとかそんな余裕はあンまり持ってねえ。 自分の身はてめえで自衛しろよ? それが最低条件だ、メシとかは構わん」
着いて来るならそれなりにやれ、そう条件を突きつける。 普通の女性であれば一瞬躊躇ったり戸惑ったりするのだろうが―――
フェ「いーよー、その位あったり前!」
フェティは「にいっ」と不敵に笑ってみせた。
フェ「まぁオニーサンよりは強い自信あるしね」
醍「何か言ったかオイ?」
フェ「うんにゃ、なにもー」