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かさかさかさ。 かさかさかさ。
かさかさかさかさかさ。
……ぴたり。
毒蠍「(じー)」
彩「(じー)」
マキナさんから以前仲間にした毒蠍を預る事になった。 暫く見た感じ、付かず離れずの距離を保ったまま時折こちらを見ている様だ。 ……なんだか警戒されてる気がする。
とは言っても別段敵意を持たれている訳でもなさそうで、特に問題は無いかも。 そう考えながら、肩に掛けたバッグの中からジャーキーを取り出し
彩「食べる?」
と、差し出しながら尋ねてみた。
第五日目 『きっとそれさえも日常の一コマ』
そんな彩を、少し離れた所に腰掛けながら眺めるフェティの姿があった。 ちなみに彩との関係は別に悪くは無い。 寧ろ割と仲良さそうに見え、一行と共に過ごすのに何か問題がある訳では無さそうなのだが……
フェ「・・・・・・」
フェティの顔は、どこか冴えない表情をしていた。 馬鹿のくせになんとこれは珍しい。
その原因の大部分は彼女の「さがしもの」なのだが、今そこに加わっているのは 以前醍や圭と一緒にいた時に巡り会った「彼女」と似た何かの片鱗を感じたあの少女の事だ。 あの少女もまた、何か、誰かを探してこの島を訪れたらしい。 そしてその相手は恐らく私の探している「彼女」、のような気がするんだけど、どうなんだろ。
(そういえば私はあの子の事あんまり知らないけど……)
そんな今更な事を思い出しながら、
フェ「私みたいにならないといいんだけど、な」
小声でそんな事を呟いていた。
◇ ――――― ◇
フェ「そういえばさっ」
彩「ん?」
フェ「その子の名前ってもう決まってるのかな」
御飯を終えた後、フェティが跳ねるように身体を起こしながら彩に声を掛けてきた。 その子、とはどうやら毒蠍の事の様だ。
彩「や、まだ特に決めてないよ。 本人にも聞いてないし」
フェ「それじゃさ、今決めてみない?」
彩「んー…」
彩が顎に指を当て押し黙る事十数秒、何かを思い出しぴっと人差し指を伸ばしつつ発表。
彩「1号君」
フェ「何そのどっかの森川君みたいな名前―― って、よく思い出したらそれって一昨日くらいにマキナさんがつけようとした名前だよね?!」
彩「ダメかな」
フェ「流石にサイが名付けるにはあんまりだと思うよー、うん」
言われてみれば確かにそうかもしれない、魔王だし。
彩「それじゃあ、『志井』ってどうかな」
フェ「しい、しー、もしかして英字の『C』?」
彩「うん、AとかBとかよりもちょっと楽しい感じで、C」
仲は良いのだが、この子の思考って掴み所が無いとゆーか、よく分かんないかも。 そんな諦め半分納得半分な顔で、フェティはOKサインをとりあえず出してみた。