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目の前にはギギギ…と五月蝿い偽妖精が2匹、 それとでっぷりつーかバカみてぇな規格外体格してる大鳩が1匹。
醍「…メンドクセェなぁ」
式村醍はやる気なさそうだ!(実力発揮50%)
醍「次ィ重いのいくぜ、覚悟決めとけよ?」
その反動か、今の気分は大層心地良い。 コイツぁ当ればいつもの比じゃあ無さそうだ。
ごすっ。
鈍い音の後、大鳩がもんどりうって転がった。
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
そんなこんなで外。 出るまですっかり忘れていたが結構寒い、つーか何か所々雪降ってるよなコレ。 降ってない所もあったりする辺り何なんだこの島。
時期的なモンもあってかクリスマス一色、何かカップルがいたりするとちょっと寂しくて嫉妬。 とか余り似合わない事が脳裏を過ぎったりする。
(昨日の)マスクは気分だ、気にするな。 っていうかツッコミされたら真面目に困るから。
ミケたんマジ容赦ねェェェェーッ!!!
『 醍センセイ 醍センセイ 』
醍「・・・・・・?」
今何か聞こえた様な…? 振り向いて見ると離れた所で駿斗が携帯のスピーカー部分を押さえ、 不機嫌そうな顔でコッチを見ている。
…携帯? 繋がンのか此処? 俺置いてきちまったンだけどなァ… 怪訝+驚きの顔で見返していると駿斗が携帯を横目に見たりして "お前に電話"と伝える様な素振り。 とりあえず近付き電話の相手を問う。
醍「誰だ?」
駿斗「紗夜」
……………マジ?
駿斗「とりあえずマスク脱げ、あと上着ろ」
手早くその辺で調達していたサンタ衣装に着替え、駿斗の電話を受け取る。
醍「もしもし?」
『醍センセイ醍センセイ醍センセイ~! 久しぶりなんだよ、元気にしてた?いい子にしてた?』
きいいいいんっ!! と音が鳴りそうな勢いの大声が突如スピーカーから発せられる。 何この物凄い甘え声、流石の俺もビックリだぞ。 思わず堪えきれない笑いが漏れる。
醍「おう久し振りだな、つっても確か1週間かそこらだケドよ。 こっちは十分元気だし、悪い事もしてねえぞー つーか俺のセリフじゃねえ?ソレ」
『もう寂しくて溶けそうだよ……でもちゃんといい子にしてるんだよ。 すーちゃんには悪いけど多分クリスマスの時期位イイヨネ、醍センセイと話してイイヨネ。 せめて電話でもいいから醍センセイと喋りたかったんだよ』
醍「紗夜が言うとホントに溶けそうだから溶けンじゃねえぞ… おう、ちゃんと待ってられる紗夜はいい子、だな。 こんな時期だっつーのにそばにいてやれなくて、その、何だ、わりぃ」
『んー?醍センセイが元気でよかったよ。 こうやって連絡取れてうれしいんだよ。んふふー… 言葉だけでも、いつも毎日じゃなくても、醍センセイと繋がれて、すごく嬉しいんだよ』
離れてから一週間と少し。 それしか経っていないのに、声が聞けただけなのに、これ程まで安堵するモノなのか。
醍「すっげぇ嬉しそう、っていうかハイテンション振り切ってねえ? ……ストレートにそー言われっと照れるな」
『んー…だって、うれしいんだもん』
醍「まあ紗夜が嬉しく思ってンならそれでもいいし、俺もそれが嬉しいし良いか」
『醍センセイ、醍センセイ。禁欲生活のフラストレーションって奴だよきっと』
醍「禁欲とか言うな、どストレートにも程があるっつの?!」
『だってー。だいせんせぇ・・・』
醍「んな声出すなぁー…俺だって頑張ってんだからぁー…」
悶える俺。 こう言うのも何だが、俺はこいつには勝てそうな気がしない。
『ね、また電話してくれる?』
そんな事を察してか察さずしてか、紗夜が問いかけてくる。
『ホントは、かけたいけど、冒険中お邪魔になるといけないから、がまんしてるんだよ… 一人で寝るの寂しいのも我慢してるんだよ… 』
はぅ、と桃色な溜息をついているのがありありと伝わってくる。 圭が今近くにいなくて良かった… 今、多分、すっげぇユルい顔してる俺。 俺落ち着くんだ、落ち着くんだ俺。
醍「俺は電話置いてきちまったから掛けられねえけど、駿斗に借りりゃ何とか? ただ殆ど電波入らねえっぽいが、上手くいきゃあってトコだな。 慣れちまわない位で帰れる様に俺も頑張ってみるからよ、すまねえ…」
『んー?醍センセイ、なんで謝るの?』
醍「んー? そばにいてやれなくて悪いな、ってな」
『確かに醍センセイが目の前に居なくて寂しいけど、私は嬉しいよ。うんうん』
醍「そっか… ンじゃあ土産話でも用意してちゃあんと帰るからよ、首長くして楽しみに待ってな?」
『うん。冒険、楽しいんだね。声が素敵になってる。 醍センセイとすーちゃんがちゃんと帰ってきてくれたら、何もイラナイよ。 もうずっと、一日千秋の想いで待ってるよ』
醍「俺も駿斗も圭も帰るさ、何が何でもな。 じゃなきゃぁ意味ねえし胸張れねえじゃねえか」
『うん。待ってる。頑張れば50年くらいは待てるよ。 ん?圭ちゃんもいるんだ』
醍「あれ、言ってなかったっけか? 圭もこっちに連れてきてるぞ、前の補習みてェなモンでな。 …流石に50年もここにいるツモリはねえぞ、つーかお前もお前で待ち過ぎソレ」
『そっかー…圭ちゃん、元気にしてる? 50年待ってももし帰ってこなかったら、醍センセイに何かあったんだ、って諦めるよ』
醍「ま、一応な。 何だかんだでアイツの恋人もこっち来ちまってたみてえだし浮かれてっけど。 諦めたり見捨てられねェように精一杯もがいてやるさ」
『そっかぁ。圭ちゃん、幸せなんだね。 なんか、小さい頃……ううん、なんでもないよ。幸せで元気なら、凄く嬉しいよ』
紗夜のその言葉に"紗夜の知っている頃"の圭が思い出される。 怪我で入院している所へ見舞いに来る小さな、そして……何処か影のある多少口数の少ない子。 知らない人が来るとヒトの背に隠れてしまう所なぞ、今からは想像出来ない姿。
『うん。醍センセイは約束を守ってくれるヒトだって、分かってるよ』
そんな回想も電話越しに聞こえる紗夜の声で中断。
『すーちゃん、と、仲良くなれた?』
醍「圭が自分の気持ちでやっと自立してってんだ、俺としても嬉しく思うぜありゃあ。 あー…まあ、悪くねえ、ってトコか?」
駿斗の方を見 ……って寝てやがるし。 まァ、いいンだが。
『そっか。圭ちゃんにも、またいつか会いたいな。 かわいくて綺麗な女の子になってると思うんだよ。フフ・・・ フフ。仲良しさんになれたかな? 人見知りするけど、すーちゃん、良い子でしょ』
醍「帰ったら会わせてやるって、多分すぐに分かると思うしな。 そいつも会うまでのお楽しみってヤツだ、フッフッフ…! ちょいとヒネクレた所はあるがなー」
『うん。圭ちゃんが会ってもいい、って言ってくれるなら会いたいよ。待ってるv 恋人さんとも会えるといいなぁ……皆で仲良し家族になりたいよね。 んー……不良って訳じゃないんだけど、たしかにちょっと冷たいよね。 年頃の男の子だからかなと思ってるんだけど、醍センセイが17歳くらいの頃はどうだった?』
醍「俺か? 俺は、そうだなァ…――」
屈託の無い笑顔を輝かせて、未来の希望を語る女性(中身は子供っぽいけど)。
俺はこの笑顔を守りたい。 この笑顔を曇らせたくない。 もう、二度と。
そのまま二人は暫く、時間を忘れ疲れて眠くなるまで喋り続けた。
朝、少し寝過ごした感はあるもののぐっすり快眠体力全快。
圭「兄さん、もう一度念を押すけれど…迂闊な事は禁物、だからね」
醍「分かってる分かってる」
圭「もう…」
トム「そうそう妹さんの言うとおり、近くにいるんだから大きな声は危ないわよ? ヒヒヒ……。」
醍&圭「ッ!?」
振り返る。 いない。 だが今のは何だ。 ッつーか何だ所じゃねェよな今の?! 青褪めた顔で圭は口を開く。
圭「じゃ、じゃあ私帰ってもいいかな…?」
醍「良いワケあるか、オラ来い行くぞ」