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いつも通りの赤い空。 その空を翔る鳥が一羽。 赤い眼で赤き空を見、白い羽で色無き風を裂き飛ぶ。 その姿は天を仰いだ者の目を一瞬留める程度に雄々しさを感じる。
――― 否、感じていたものだった。 今は、違う。 時折ふらりふらりと高度を落としながらも飛び続けるその姿は ひどく、弱々しさを感じるものであった。
「……次に羽を休めてしまえば、再び飛び立つ事も叶わんだろうな」
体中から力が失われていく…、これがマナの喪失か。
力を込めて羽ばたく度、赤い飛沫が宙を舞う。 赤に映えた白き姿が、赤に飲み込まれてゆく。
「只の鳥類がよく生きたものだ……」
只の鳥類、その言葉は自虐かそれとも客観的推察か。
思えばこの赤い夢に囚われて十日、生まれた島で過ごしていた年月よりも 遥かに濃密な時を過ごしていたと我ながらに思う。
悔いは無い、残す生き方をしてきた積りも無い。
「それも…良かろう」
「だが、ならば―――、」
「最期の一瞬まで―――、」
「意識のこと切れるその時まで―――、」
「飛び続けてくれよう……!!」
白い鳩が一際強く翼を羽ばたかせる。 赤い粒が一際強く撥ね上がる。
白い姿が赤に飲み込まれてゆく。 赤い斑が白を飲み込んでゆく。
飲み込んで逝く。 飲み込まれて逝く。
その先に在るものは、死か、それともあの森で見る朝日か。 知る者は、誰も居ない。
MANA is Empty... Wirbelwind , LOST.